仕事終わり。
正直なところ「今日は疲れたから無理かな」と、カメラを持ち出すのをためらう日だった。 それでも、届いたばかりの「TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD (Model F072)(タムキュー)」の感触をどうしても確かめたくて、重い腰を上げて夜の高松の街へと足を踏み出した。

マクロレンズといえば「花や小物を大きく写すもの」。
自分の中にもそんな思い込みがあったんだけど、夜のストリートに持ち出してみると、90mmという画角が思いがけない景色を見せてくれた。

街の鼓動を止める、モノクロームの静寂

高松夜景track01①

90mmという画角が、広がりがちな夜の風景をグッと圧縮し、「物語」だけを抽出してくれる。

カラーの情報をあえて捨てることで、アスファルトの質感や、光と影のコントラストが生々しく浮かび上がった。

高松夜景track01②

ただの街角が、まるで映画のワンシーンのようにドラマチックに切り取られていく。

光の温度を精緻に捉えるカラー描写

高松夜景track01③

一方で、カラーでの描写も非常に素直だ。

交差点を行き交う車のテールランプと、青みを帯びた夜の空気。

高松夜景track01④

ガラス張りの建築から漏れる暖かな光と、夜の街を照らす冷たい街灯の対比。

暗部がただ黒く潰れるのではなく、そこにあるディテールをしっかりと残している。

植栽の葉の一枚一枚まで解像する緻密さを目の当たりにすると、マクロレンズとしての基本性能の高さに改めて驚かされる。

疲労を忘れるほどの没入感

家を出る前に「疲れた」とこぼしていたはずが、街の光を拾い集めているうちに、完全に時間を忘れていた。

レンズを変えるだけで、見慣れた高松の街がまったく違う表情を見せてくれる。

タムキューは、日常の風景に潜む音を拾い上げてくれる、頼もしい相棒になってくれそうだ。

新しい写真のプロジェクト。
その「Track 01」として、とても静かで、心地よいスタートを切ることができた。